社会そのほか速
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前回は自社WEBの充実等、採用における具体的な募集手法を語ったが、今回は選考を中心とした採用の「仕組みづくり」の話だ。
小さい規模で活動しているうちは、採用も経営者が1人で切り盛りしていける。ところが、組織の規模が大きくなると、そうもいかない。採用担当のスタッフを決めて、チームを組んで動いてもらうことになる。
経営者の独断と偏見で選抜していた初期のころと異なり、複数の人間が選抜にかかわるとなると、やはり組織のなかに「採用の仕組み」をつくっていかなければならない。
なにせ、たとえ人不足であっても、集まってくれる人ならだれでも採用すればいいというわけではない。自分たちの組織の理念を理解し、ともに活動してくれる人。そして自分たちと相性のいい人。そうした人を採用したいのは当然である。
とくに、経営者にとってきついのが、採用した人が短期で辞めてしまうこと。その人の育成にかかったコストがまったく意味のないものになってしまう。これは極力、避けたい。
活動に共感し、中長期の展望をもって、いっしょに働きつづけてくれる人。こうした人をすべての採用担当者が一律に見極められるようにするためにも、「採用の仕組み」づくりは不可欠なのだ。
採用は大きく、「書類審査」→「面接」の2つの段階を経る。
書類審査では、自社で求める基礎的な条件を満たしていない人は弾(はじ)く。
たとえば、低所得層向けの学習支援事業で講師を募集するというNPOの場合、当然教える技術が求められるので、大学卒業レベルや塾講師経験ありなど、一定水準の学力があることはおそらく必須条件だろう。そうでない人はこの段階で落とすことになる。また、書類から見ても明らかに採用要件に合致していない場合は、この段階でお断りする。
次の「面接」では、書類ではうかがい知れない部分をチェックする。
この際に起こりがちなのが、面接担当者によって、採用の基準がバラバラになってしまうこと。なにせ面接する側も人間。さまざまなバイアスがかかってしまう。
たとえば、第一印象が面接担当者にとって、あまり好きではないタイプの人だと、点数もカラくなりがちだ。また、たくさんの資格をもつ応募者の場合、実際以上にいい人材に見えてしまうこともある。後者は「ハロー効果」と言って、顕著な特徴に引っ張られて、全体が良く(悪く)見えてしまう心理的なバイアスのことだ。有名大学を出ていることと、ビジネススキルが高いかどうかは一致しないにもかかわらず、全体的に優れたビジネスパーソンだと思ってしまう、というようなバイアスである。こうした様々な心理的な効果によって、適切な選考は妨げられる。
そこで、だれが採用担当になってもある程度同じ結果になるように、面接のための「チェックシート」を整えておくといいだろう。
採用担当のスタッフを中心に組織で検討し、面接で聞くべき質問項目や、判断の基準、チェックのポイントなどをリストにしておくのだ。
面接については、もう1つ注意すべきことがある。
それは、面接担当のスタッフが「圧迫面接」やセクハラ、パワハラまがいの発言などをすることがないよう、そのマナーを徹底させることである。
いまの時代、ウェブを通じて悪いウワサはあっという間に広がってしまう。心ない言葉やふるまいに傷つけられた応募者が、そうしたウワサの出所になることは十分にありうる。
「あそこって、偉そうな理念を掲げているけど、実際にやっていることは最悪」なんてウェブ上に書かれてしまったら、組織にとって大きなイメージダウンになり、ブランドが破壊される。
また、応募者というのは自団体のことを好きでいてくれる人なので、何かの折で協力者になってくれる可能性がある。例えば、フローレンスにおいては、「何かフローレンスの役に立ちたい」と採用に応募して来てくれた人がいた。その方はとても良い人だったが、残念ながら当該職種にはマッチしておらず、泣く泣くお断りした。そうしたら、その後、今度は継続的に寄付をする「寄付会員」になって下さったのだ。驚きであった。
このように採用活動によって、せっかく自団体を好きになってくれた、潜在的協力者の方々に、マイナスのイメージを与えてしまわないよう、細心の注意が必要なのだ。
そのためにも、面接担当者の教育は忘れないこと。研修などを通じて、面接する際の心構えや注意すべき質問、ふるまいなどを周知徹底していくといいだろう。