社会そのほか速
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
ただいまコメントを受けつけておりません。
子どもたちに読書普及活動を行う「伊藤忠記念財団」(東京)が、全国各地に伝わる昔話を方言で読み上げたマルチメディアデイジー図書の製作を始めた。その地域ならではの言葉で風習などを学ぶことができ、第1話として鳥取県東部に伝わる「因幡の白うさぎ」のCDが完成。県立図書館(鳥取市尚徳町)で貸し出しを始めた。
同財団は4年前から、全国の特別支援学校や公立図書館に、「桃太郎」「浦島太郎」など有名な昔話や童話の同図書を約180作品、無料配布してきた。
配布時のアンケートで、「地域の文化や風習を興味深く学べる教材がほしい」との声が上がり、各地の昔話に「方言」を取り入れて製作することに。誰にでも開かれた図書館を目指している県立図書館に、同財団が話を持ちかけて企画が実現した。
「因幡の白うさぎ」は、古事記に出てくる神話。サメに毛皮を剥がされ、海辺で泣いていた1匹の白うさぎを、大国主命(おおくにぬしのみこと)が助ける。白うさぎが取り持つ縁で、大国主命と八上姫(やかみひめ)が結ばれるというストーリーだ。
「とんとむかしがあったさーな」から始まるCDで6分間の作品は、同館支援協力課の三好明美さん(48)が台本を担当。県立米子西高美術部の生徒たちがイラスト16枚を書き下ろした。
かわいいウサギなどのイラストの下に字幕が現れ、読み上げる箇所は色が変わる。簡単な操作で、音声の速度や大きさも調節できる。
物語の随所で出てくる方言は、絵本の読み聞かせを行う「児童書を楽しむ会つくしんぼ」(鳥取市)の山田節子さんが監修し、音読も担当した。三好さんは「方言を知ることで、その地域に愛着を持ってもらえたら」と話す。
同館では、点字資料や大活字本などを置く「は~とふるサービスコーナー」に、パソコン1台を設置。同図書をいつでも利用できるようにした。授業などで活用している鳥取大付属特別支援学校の児島陽子司書教諭(54)は、「文字を読むのが苦手な子どもたちの世界が、ぐっと広がった。方言を学ぶきっかけになれば」と期待する。
全47都道府県の昔話で同図書の製作を目指す同財団は、各地の図書館に協力を呼びかけている。担当者は「少しずつ増やしていきたい」と話す。(北瀬太一)
◆マルチメディアデイジー図書 視覚障害者や文字の読み書きが困難な人向けに、パソコンを使って目や耳で読書ができる図書。イラスト付きで、童謡や昔話などが読み上げられ、理解を助ける。音声だけのデイジー図書もある。
「泣きまわすウサギを、かうぇーそうに思った大国主は、こう教えてやっただって」
(なきじゃくる うさぎを かわいそうに 思った 大国主は、 こう 教えてあげました)
「はよ川の水で体を洗って、そこに生えとるガマノホを敷いて、その上に乗って体を転がしんさい。そーしたら、おめえの体はようなるはずだけ」
(早く 川の水で 体を あらって、 そこに 生えている ガマのほをしいて、 その上に 体を 転がしなさい。そうしたら お前の体は よくなるはずだから)
「ウサギはごっついよろこんで、大国主に感謝してなあ」
(うさぎは とっても よろこんで、 大国主に 感しゃしました)
「あんたらあ、神さんは、八上姫に会いに行くだらあ。八上姫はきっと、心のやさしい大国主さんを選びんさるで」
(あなたたち神様は、 八上ひめに会いに行くのでしょう? 八上ひめはきっと、心の優しい大国主様をお選びになるでしょう)