社会そのほか速
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週に約100本(再放送含む)のアニメを視聴し、アニメを使った町おこしのアドバイザーなども務める“オタレント”の小新井涼さんが、アニメにまつわるさまざまな事柄についてつづります。第10回は、大学院に進学した小新井さんが「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。(俺ガイル)」について語ります。
【写真特集】明治大学大学院に入った小新井さんの近況
以前のコラムにも書かせていただきましたが、“学術的にアニメを研究したい”ということで、この春から母校の明治大学大学院に通い始めることになりました。希望とやる気に満ちあふれた約3年ぶりの学生生活…なのですが、ひとつだけ不安なことがあります。
友達の作り方がわからない!!
今回はそんな私と同じく“新年度恐怖症”を抱く方に、この時期だからこそ見てほしいアニメ「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」を自身の体験を交えて紹介したいと思います。
現在第2期も放送中のこの作品、出会いは第1期のアニメ放送でした。最初に抱いた感想は「なんてリアルな青春模様を描いた作品だろう!」…とはいっても壁ドンがあふれるようなキラキラ青春アニメではなく、“ぼっち”の休み時間対処法「寝たふり」や、栄光ある孤立と開き直りつつ、他人が気になる自意識過剰さ、好きなやつとペア組め対策や、本能的なクラス内ヒエラルキー察知力などなどなど……。大人になってからも「知ってるやつの話なんだけどさ~」という前置きをしてから話したくなるような黒歴史が満載の青春模様だったのです。そんな主人公・比企谷八幡の挙動や独白は、みていて古傷をえぐられるようでつらいと思いつつ感情移入せざるをえないものでした。
しかも「これだけ絶妙に青春時代のトラウマを描けるなんて、原作者である渡航先生本人はいったいどんな青春時代を送ってきたのだろう」と思っていたところ、なんと同じ大学同じ学部の先輩であったことが判明。
元々尊敬していたのに加え“名前にコミュニケーションが入っている学部(情報コミュニケーション学部)でコミュ障だったコンプレックス”を持つ私は勝手に仲間意識を持ってしまい、ますます作品に愛着が湧いたのです。
そんな原作者さんに先日その学部の周年行事で初めてお会いできたのですが、感動のあまり「私“も”コミュ障なんで、こんなにぼっちの気持ちがわかるなんてすごいと思ってました!」と言ってしまい、「いきなり初対面でぼっち仲間アピールとか、どんだけ失礼なんだよ」と皮肉にも自分の社交性のなさをますます反省する……、なんてこともありました。
これだけ人間関係の構築に苦手意識を持っている私なので、これからどんなぼっち学生生活が待ち受けていようとも乗り越えられる精神力を学ばなくてはと、新年度の今こそこの作品を見ておくべきだと思ったのです。
そもそも勉学にいそしむための場所なんだから、無理に友達を作る必要はないんだ! お互い顔見知り程度の人と廊下ですれ違ったときに「あいさつすべきか、儀礼的無関心を通すべきか」と胃を痛めることはないし、飲み会に参加しないことで入れない内輪ネタが増えていっても、心を無にしてスマホでもいじっていればいい! 幸いキャンパス内で独りになれるスポットは学部時代に熟知しているし……!
そんな自分の屁理屈も肯定できてしまうような八幡のひねくれ具合にシンパシーを感じつつ、そんな彼だからこそ悩める生徒のコンプレックスに気づいてくれるという描写には、見ているこちらまで救われた気持ちになれます。
早くもぼっちルートに突入してしまったあなたも、この作品に「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」!と代弁してもらってはいかがでしょうか。
◇プロフィル
こあらい・りょう=埼玉県生まれ、明治大学情報コミュニケーション学部卒。アニメ好きのオタクなタレント「オタレント」として活動し、ニコニコ生放送「岩崎夏海のハックルテレビ」やユーストリーム「あにみー」などに出演する傍ら、毎週約100本(再放送含む)のアニメを見て、全番組の感想をブログに掲載する活動を約2年前から継続。「埼玉県アニメの聖地化プロジェクト会議」のアドバイザーなども務めている。アニメを社会学の観点から研究するため、2015年4月に明治大学大学院に入学、情報コミュニケーション学を専攻している。