社会そのほか速
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
ただいまコメントを受けつけておりません。
役者・石坂浩二といえば、金田一耕助や『なんでも鑑定団』での司会などの姿が思い浮かぶが、『渡る世間は鬼ばかり』でのナレーションの声を思い返す人も少なくない。名ナレーターとしても知られる石坂がナレーションについて語った言葉を、映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづる連載『役者は言葉でてきている』からお届けする。
* * *
石坂浩二といえば、名ナレーターとしても知られている。しかも、特撮ドラマ『ウルトラマン』、紀行ドキュメント『シルクロード』、ホームドラマ『渡る世間は鬼ばかり』と、扱ってきた作品は多岐にわたっている。
「発声というのを自分で随分と研究していたので、ナレーションという声だけの仕事はやっていて面白いですね。
劇団四季の演出部にいたことがあるのですが、その時に浅利慶太さんから『役者は声が大事だ。声には良い声と悪い声がある。特に二枚目の役をやるなら、声は聞きやすくないとダメだ』と言われていました。
それで、ボイストレーニングに通うことにしたんです。僕はそれまで割と高い声をしていました。ですから、音域を下げる練習を二年くらいやりましたね。その時の先生には『普段もその低い声で喋りなさい』と言われました。それで段々と下がってきました。
そうやってボイストレーニングをしている時に、声にもメジャーの音、マイナーの音、つまり長調と短調があると知りました。喋りには流れがあるから、その流れがメジャーだったりマイナーだったりするわけです。たとえば宝塚の『ベルサイユのばら』のセリフの音は短調が多いんですよ。そういう違いを意識的に使い分けていけば、声そのものが武器になると思えました。これはナレーションだけでなく、劇のセリフでも使えますから。
発声学の先生には見抜かれましたね。『その声は、作った声でしょう』って。『その顎の形からは、普通はその声は出ない』と言われた時は驚きました」
特に『シルクロード』の時は喜多郎のオカリナの調べと石坂のナレーションが溶け合って、観る側を悠久の大地へ誘った。
「『シルクロード』の時はマイクロフォンをどれにするかというので、五本くらいテストしました。その時の音声の技師さんがオシロスコープを録ってくださって『あなたは普通の人よりいろんな種類の声が出ている。どれが本当の声ですか』と聞いてきたんです。
それで『実は、これは作った声で……』と説明したら『やはりそうでしたか。…