社会そのほか速
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
ただいまコメントを受けつけておりません。
【エンタなう】ロンドン市で孤独死の弔いを担当する民生係の男を追った佳作「おみおくりの作法」の評判がクチコミで広がり、ロングラン上映を続けている。
主人公の“おくりびと”も独り暮らし。他人事とは思えないのか、丁寧すぎる仕事から解雇の憂き目に遭う。最後に扱うホトケは、アパートの向かいに住んでいた酒乱の男だった。葬儀の参列者を探して、故人の知人を訪ねる旅が始まる…。
日本映画にも葬儀に向き合った秀作が多い。
伊丹十三監督の「お葬式」(1984年)、和泉聖治監督の「お日柄もよくご愁傷さま」(96年)、マキノ雅彦監督の「寝ずの番」(2006年)、そして、オスカーを受賞した滝田洋二郎監督の「おくりびと」(08年)。いずれも死の哀しみと隣り合わせの生の滑稽さをうまく描く。
その源流は、小津安二郎監督の「東京物語」(53年)ではないか。
英ガーディアン紙の記事に着想を得たウベルト・パゾリーニ監督は、小津作品の死生観にも影響を受け、この映画を撮ったという。前妻やホームレス仲間を訪ね歩く主人公は、物静かで台詞が少ないが、時折、ウイットに富む行動に出る。そこに笠智衆が重なって見える。約90分の上映時間は濃密だ。 (中本裕己)