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ガールズバンドのスタイルが多様化し、第3次ともいえるブームに向けてシーンが盛り上がりつつある。主なガールズバンド33組の特徴と2年間(2013~14年)の売上実績を掲載した『ORICONエンタメ・マーケット白書2014』(オリコン・リサーチ刊)によると、ストレートなロックバンドからオルタナ系やポストパンク、さらにはヘヴィメタルやアイドル的なアプローチのバンドまで、百花繚乱状態となっている。
【写真】ファッション性も人気のSilent Siren
80年代後半から90年代初めにかけての第1次ブームは、女性だけで構成されるバンドの形を試行錯誤しながら創案した時期だった。ポップな路線のプリンセス プリンセス、ハードロック路線のSHOW-YAに加え、GO-BANG’S、KIX・Sらが登場。売上のレスポンスも含めてガールズバンドの可能性を示した。
第2次ブームは90年代の終わりから2000年代前半にかけ、WhiteberryとZONEが形成。両バンドの共通点はメンバー全員が10代という若さにあり、同性同世代のリスナーに与えた影響は大きかった。
08年にガールズバンドとしてはプリンセス プリンセス以来約10年ぶりに日本武道館2daysを成功させたチャットモンチー、さらには09年に大ヒットしたテレビアニメ『けいおん!』を助走として、近年ではSCANDALがブレイクした。06年にダンススクールに通っていた女子中高生4人で結成し、08年に制服衣装でデビュー。12年に日本武道館でワンマンライブを実現し、翌年の大阪城ホール公演も5分でチケットを完売させた。
13年~14年にかけてのCDおよび音楽映像作品の総売上枚数は35.2万枚を記録し、知名度も売上面でも一歩抜きん出た状態に。10年から行われているSCANDALのコピーバンドコンテストへの応募は、初年度の352組から年々増加。昨年は614組にのぼり、数多くのフォロワーを生み出している点でもシーン全体を盛り上げる原動力となっている。
急成長を遂げているのが12年11月にメジャーデビューしたSilent Siren。ファッション誌の読者モデル出身という異色の経歴を持つが、この2年間の売上はSCANDALに次ぐ13.0万枚を記録。今年1月にはガールズバンド最速となるメジャーデビューから2年2ヶ月で日本武道館のステージに立ち、9000人を動員した。
さらに、2年間の売上10傑の中には、サウンドこそ正統派ヘヴィメタルだが「アゲ嬢」を彷彿とさせるルックスも話題のAldious、元アイドルの肩書を持つSAKIをボーカルに擁し、ヘヴィロックのCyntia、センターボーカルを置かず、演奏陣4人+パフォーマー2人の異色編成でデジタルロックを展開するGacharic Spinなど、出自もサウンドもかつてないほど多彩で分厚い層が形成される。
かつてプリンセス プリンセスとSHOW-YA、WhiteberryとZONEが同時期にブレイクし切磋琢磨したように、チャットモンチー、SCANDAL、Silent Sirenと持ち味は違いながらも武道館を埋められるガールズバンドが複数存在する今、シーン定着を期待したい。