社会そのほか速
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みなさん覚えているだろうか? 全く想像をしていなかった世界へ導いてくれたあの衝撃体験を。そして再び、ラナ&アンディ・ウォシャウスキー姉弟監督が私たちをあの感覚に導いてくれる――。いよいよ明日3月28日より公開となるSF超大作『ジュピター』は、『マトリックス』第1作目以来16年ぶりの監督・完全オリジナル・ストーリーだ。その舞台は、仮想現実から壮大な宇宙へとグレードアップ。アナログなワイヤーアクションと、最先端の映像テクノロジーを駆使して描くスペクタクルなアクションは圧巻だ。
大迫力のアクションシーン
でも、それだけじゃない。SF好きなら「おっ」となる名作へのオマージュを散りばめたSFへの愛に満ちた作品でもあり、運命に導かれた2人のラブロマンスも交え描く、王道のデートムービーでもある。そう、本作はすべてのSFファンへ贈る監督からの最高のプレゼントなのだ!
SF映画の醍醐味を味わって、数々の名作へのリスペクトに感服
姉ラナ・ウォシャウスキーは、「私たちは、20世紀の子供たちと言えるわけで、それはつまり、独創性に惹かれることを意味する。(あの時代は)独創性こそが一番の魅力だったし、何か違うもの、見たことがないものを見るといつだってワクワクしたわ。『スター・ウォーズ』『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』『エイリアン』『ターミネーター』のような作品を例に挙げると、それらはオリジナルの題材から映画用に脚本が書かれた作品なの。そういう文化の中で私たちは育ったので、それまで描かれなかった映像、語られなかったストーリーに惹かれるの」と語る。そうそう、いつだって映画は私たちを感動させてくれ、映画館はいつも大好きな場所だった。
ウォシャウスキー姉弟監督
コンセプトアート:宇宙の王朝。『スター・ウォーズ』を連想
新作『ジュピター』は、そんなSFの醍醐味をたっぷりと堪能させてくれる。そしてこれまでに、そのイマジネーションと映画というマジックで私たちを別世界へと導いてくれた、スタンリー・キューブリック、スティーブン・スピルバーグ、ジョージ・ルーカス、リドリー・スコット、ジェームズ・キャメロンなど、歴史に名を刻む数多くの名匠たちへのリスペクトも、ウォシャウスキー姉弟は忘れない。なんせ彼らの遊び心で満ちあふれているから、たまらないのだ。
思わず目が釘付け!『2001年宇宙の旅』の宇宙ステーションを発見!
SF映画といえばスタンリー・キューブリックの『2001年宇宙の旅』を筆頭に挙げるファンも多いことだろう。どうやらウォシャウスキー姉弟も同作品の大ファンのようで、『ジュピター』の中にもその要素がかいま見えるのだ。それが、木星の巨大衛星都市を映し出した場面。広大な宇宙空間に大小さまざまな無数の宇宙船が浮かんでいるのだが、よーく見てみると、その中に『2001年宇宙の旅』に登場する宇宙ステーションが浮かんでいるのである!
『2001年宇宙』宇宙ステーションを発見?
壮大な冒険に巻き込まれるヒロイン
『ジュピター』では、宇宙空間にしろ都市の風景にしろ、画面の隅々まで緻密に描き込まれていて情報量が非常に多い。こうした場面では何となく全体を眺めて雰囲気に浸ってしまいがちだが、実は細かい部分にウォシャウスキー姉弟のSF愛が詰め込まれているので、ぜひ探してみてほしい。
『未来世紀ブラジル』のテリー・ギリアム監督がゲスト出演! あまりにもハマり役
次に注目したいのは、宇宙のとある場所にある、レトロ感ただようお役所をジュピターが訪れるシーン。弁護士と共にお役所をたらい回しにされる場面は実にコミカルで、思わず吹き出しそうになりながら見てしまうが、実はここにカルト的な人気を誇るSF映画『未来世紀ブラジル』で知られるテリー・ギリアム監督がゲスト出演しているのだ。SFファンならこのシーンには思わずニヤリだろう。
『未来世紀ブラジル』のテリー・ギリアム監督
コンセプトア―ト:宇宙の町並
役どころは、ジュピターが王家の資格を得るために訪れた際、やる気のない雰囲気で出迎える連邦本部の大臣。無理やり起用したわけではなく、キャラクターの見た目もテリー・ギリアム監督自身にバッチリ合っていて、実にハマり役。そういえば何となくこのレトロ感ただようお役所自体、『未来世紀ブラジル』の世界を彷彿とさせる雰囲気なのだ。大のSF好きであるウォシャウスキー姉弟ならではの遊び心と言えるだろう。
これには、テリー・ギリアム監督自身も「私は前から彼らのファンなんだ。彼らは頭が良く、実に素晴らしい作品を作る」とウォシャウスキー姉弟を絶賛しており、ノリノリで小役人を演じている。コメディスター顔負けのコミカルな名演に注目だ。
『ブレードランナー』『パシリム』・・・まだまだあるぞ!SFファンへのプレゼント
本作のヒーロー的存在である狼のDNAを持つ賞金稼ぎケイン。彼が手にしている武器のフォルム、どこかで見たことある……と思ったら、SF映画の名作『ブレードランナー』のデッカード・ブラスターにそっくり! ブラスターとは、ハリソン・フォード演じる捜査官デッカードが用いるハンドガンで、『ブレードランナー』公開当時から高い人気を誇っている。しかも、ジュピターが銃を手にするシーンもあり、わざわざアップにしてくれるという”サービスシーン”つきだ。
ブレスターを連想させる武器
人型機動兵器が登場!
またSF映画ファンが心を躍らせるのが、人型の機動兵器だろう。『アバター』『パシフィック・リム』などの機動兵器によるアクションは、人間同士の殴り合いや宇宙船同士の撃ち合いとはまた違った迫力と面白さがあるのだ。そんなSF作品の文法を引き継ぎ、本作にも登場する。ケインとスティンガーが敵陣に突撃する際に乗り込むのがそれだ。ただし、これまでのような無骨なデザインではなく、どこかアニメを彷彿とさせるようなスタイリッシュなフォルムになっているのは、ウォシャウスキー姉弟ならではのセンスといえる。もちろん、これらも彼らからファンへのプレゼントなのだろう。
デートムービーにおすすめ!ウォシャウスキー姉弟による王道のエンターテイメント
『ジュピター』には、ここに挙げた以外にもさまざまなSF映画のオマージュが数多く登場する。この徹底したリスペクトの姿勢は、ウォシャウスキー姉弟ならではだ。一見すると、ハリウッド的なSF超大作でありながら、知っている人はニヤリとできる仕掛けが用意されているというのは実に面白い。またそうした細部のこだわりとは逆に、『ジュピター』のメインストーリー自体は王道を行くものに仕上がっている。
悪役はオスカー俳優エディ・レッドメイン
宇宙船へのこだわりも凄い
宇宙を舞台にした大迫力のバトルと、ヒロインを救うために戦士が強大な悪に立ち向かうストーリーの流れ、そして個性豊かなキャラクターの登場は、スペースオペラの金字塔『スター・ウォーズ』でも描かれてきた、まさにSFの王道ストーリーだ。だが、ウォシャウスキー姉弟監督はそれだけでは終わらない。誰もが楽しめるエンターテインメントの中に、彼らだけにしか描けない独特のビジュアルセンスを加え、まったく予測できない展開とアクションで観客を魅了してくれる。なんせ冒頭から、シカゴ上空で繰り広げられるヒロイン争奪戦に目を奪われ、最後の最後まで観客の想像を超える圧倒的な世界を見せつけてくれるのだから。宇宙全体を股にかけた壮大な物語は見ていてハラハラするし、ジュピターとケインの身分違いのラブロマンスにもドキドキさせられる。
そういう意味では、本作はカップルで見るデートムービーとしてもぴったりじゃないだろうか。SFに詳しいなら、ここに挙げたような知識を披露して盛り上がるもよし、そうでないなら本稿を見た後に、「そういえばあそこが……」と思い出しながらトークもできる。スッキリと見終わることができて、なおかつ後から内容についていろいろと語ることが出てくる映画は良い作品である。『ジュピター』はまさにそんな作品なのだ。
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