社会そのほか速
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私(佐藤)は手先が不器用だ。元々細かいことが苦手で、絵を描くことはおろか、字を書くことさえヘタクソである。自分で書いたメモを読めないこともしばしば。したがって、手先が器用な人を無条件で尊敬する。
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最近、「ダンボール女子」という言葉が登場したのをご存知だろうか。これはダンボールでさまざまな作品をつくり上げる女性のことを指す言葉だ。大野萌菜美さんもそのひとり。彼女の作品を間近で見たのだが、その精巧さには驚かされるばかり。しかも設計図なしで作るそうだ。一体どうして、彼女はダンボールで創作をするようになったのだろうか?
・在学中から創作
大阪芸術大学キャラクター造形学科を卒業した彼女は、在学中にアニメーションコースを専攻していた。そこで、コマ撮りアニメの背景や小道具を、ダンボールで作っていたそうである。
・映画用の戦車がきっかけ
彼女が注目されるようになったのは2014年のことである。映画『ホワイトタイガー ナチスの極秘戦車 宿命の砲火』で使用される、20分の1スケールのティガー戦車製作の依頼を受け、このとき手がけた作品をきっかけに、ダンボールアーティストとして注目を集めるようになった。
・転輪に苦労する
戦車の知識ほぼゼロの彼女は、自衛隊で戦車を見学し、1週間で最初の戦車をつくり上げたそうだ。以来、現在までにいくつもの戦車をつくり上げているのだが、いまだに苦労する箇所があるそうだ。それは「転輪」と呼ばれる、戦車のキャタピラを回す部位である。同じ円をいくつも用意しなければならない。不器用な私には想像しただけで気の遠くなる作業だ。
・曲線は難しい
もうひとつ難しいのが、丸みのある部位の成形。ダンボールに滑らかな曲面をつけるのは、相当難しいようである。これらの困難を経て、ピッタリとイメージ通りの形が出来上がることが何よりの喜びと彼女は語る。なぜ彼女はダンボールにこだわるのか? その魅力を尋ねると……。
・大野さんが語るダンボールの魅力
「ダンボールは身近にあるもの。だからすぐに作りたいものを作ることができるんです。それだけじゃなくて、ダンボールには温かみがありますよね。手を加えれば加えるほど、その温かみが増していくように思います」
・アマゾンの色違いダンボール
そんな彼女には最近、ダンボールに対するあるこだわりがあるそうだ。以前は手近にあるダンボールを使っていたそうなのだが、今はネット通販「アマゾン」のダンボールだけを使うようにしているそうである。これで色も質感も統一される、と思ったら、ちょっと困ったことが出てきた。それは微妙に色の違うダンボールが存在するという。
これもまた、ダンボールと向き合ってきた彼女だからこそ、気付くことなのではないだろうか。
・ワークショップ開催
今後は、人間の体をダンボールでつくり上げたいそうだ。両腕はすでに出来ているので、これから他の部分に着手していくことになるだろう。なお、不定期でワークショップを行っているそうなので、ダンボールアートに興味がある人は、ぜひとも参加してみて欲しい。
取材協力:Facebook
Report:佐藤英典