1日に放送されたバラエティ番組『ワイドナショー』（フジテレビ系）の中での、ダウンタウン・松本人志の発言が世間で物議を醸している。松本は川崎中1殺害事件が取り上げられると「（探偵）ナイトスクープにハガキを出した方がええと思う」「ハガキ出したら、探偵が行ってくれますよ。青タンの写真出したら、これアカンやろうって」「世間がシリアスな状況になっている。芸人がカメラで来て、緊張感を和らげることができると思う」と発言。これに対し、ネット上では「無責任にもほどがある」「何を言っているかわからない」と憤る声や否定的な意見が大量に書き込まれた。一体この発言の真意はどこにあるのか。テレビ関係者に話を聞いた――。

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「今回、問題となった松本の発言の意図は、『もっと子どもたちがSOSの声を上げられるような場所をマスコミが提供できたらいい。事態が深刻になる前に、大人たちが関心を持つような方法を作るべき』というものでしたが、言い方に問題がありましたね。芸人らしく、ちょっとウィットに富んだ発言をしたことが、かえって誤解を招いたのだと思いますよ」

　もともと、松本はこうした問題発言には事欠かない人物だという。昨年5月に同番組が放送された時にも物議を醸したことがあった。漫画『美味しんぼ』の作中で、福島原発の周辺を訪れた主人公たちが、鼻血を出すという描写に触れ、それに対して松本は「作品やから。みんなで作るもんじゃない。作者のものであって、周りが抗議したって…外部の人間がストーリーを変えろとかいうのは、ちゃんちゃらおかしい」「周りがごちょごちょ言って変えろとか言うのは神（漫画家など作品の作り手）への冒とく」と発言したからである。このことについて関係者は――。

「松本の言うことにいちいち過剰に反応する世間に対して、疑問を感じます。芸人に良識を求めること自体おかしな話ですし、もっといえばテレビの情報をなんでも盲信する視聴者の方こそ問題なのだと思います。そもそもテレビの番組は制作側の意思や見解により編集されているため、バイアスがかかっており、テレビの情報が必ずしも正しいわけではありません。どんな番組でも疑って観るべきなのです。もしかすると、松本はそんな現実を見据え、警鐘を鳴らすために爆弾発言を繰り返しているのかもしれませんね（笑）」

　こうしたメディアリテラシーをめぐっては、東日本大震災により発生した原発事故の時にも、国民が、電力業界と癒着していた可能性のある推進派の識者が語る、いわゆる"安全神話"に疑いの目を持たなかったことがひとつの原因であると問題になった。メディアに登場する識者の意見を盲信することが、いかに危険が伴うことかは疑う余地がないだろう。いずれにせよ、メディアの言うことやコメンテーターの突飛な発言にも冷静な判断を下し、信頼できるかどうか見極める力が視聴者には必要のようだ。
（文＝阿左美UMA）