社会そのほか速
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【AFP=時事】数百万個売れると予想されている米アップル(Apple)の腕時計型端末「アップルウオッチ(Apple Watch)」の発売が近づき、各ニュース会社はその極めて小さな画面の一部に溶け込むための努力を続けている。
「フェイスブック新聞」に脅かされる報道業界
ニュース・ビジネスの世界では「グランス・ジャーナリズム」という言葉が生まれている。「グランス」とは「ちらりと見る」という意味だ。身に着けて使う「ウェアラブル端末」をリードするとみられているアップルウオッチは、デジタル時代に読者とつながりを持とうとするニュース業界の新しい可能性を広げるデバイスになるものと期待されている。
米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)は、同社のアップルウオッチ用アプリは「3つの大陸にいる編集者たち」が最新のニュースを伝える「報道の新しい形」を提示するとしている。記事をアップルウオッチからiPhoneやiPadに移して読むことも可能だという。
一方ヤフー(Yahoo)は、主なニュースの要約を1時間ごとに更新するニュース・ダイジェスト、スポーツニュース、天気予報、そして香港(Hong Kong)に特化したニュースを伝えるアップルウオッチ用アプリ4種を提供する予定。CNNと米公共ラジオのナショナル・パブリック・ラジオ(National Public Radio)もアップルウオッチ用のアプリを提供しており、他社もこれに追随すると予測されている。
メディア専門家の間では、新しいテクノロジーによって消費者に提供される短いニュースが増えるとみられている。
国際メディアコンサルタント企業ガルシア・メディア(Garcia Media)のコンサルタントで、メディアの専門教育研究機関ポインター・インスティチュート(Poynter Institute)の教員も務めるマリオ・ガルシア(Mario Garcia)氏は自身のブログで、「私たちは今、『アット・ア・グランス・ジャーナリズム(ちらりと見るジャーナリズム)』の時代に入ろうとしている」と述べた。
デンマークのオーフス大学(Arhus University)と共にスマートフォン向けニュースの研究プロジェクトにも参加しているガルシア氏は、アップルウオッチが提起する新しい可能性に「興味をかき立てられている」と言う。
ガルシア氏は、「混雑したニューヨークの地下鉄でiPhoneを取り出すより腕時計をちらりと見る方が簡単だ。人々は時計でニュースの見出しをちらりと見て、どの記事を読むか決めるようになると予測している」と語った。
■腕時計型端末で全文を読む?
南カリフォルニア大学(University of Southern California)でモバイルジャーナリズムを教えているロバート・ヘルナンデス(Robert Hernandez)氏は、ウェアラブル端末の台頭により、「迅速で、一人一人にカスタム化でき、常にオンの状態の」ニュースメディアの新しいプラットフォームが登場したと言う。ヘルナンデス氏はAFPに対し、「アップルウオッチのおかげでより迅速に情報にアクセスできるようになる」と語り、ニュース会社にとってこの変化は「人間の体の一部になる新しい機会」だと述べた。
ヘルナンデス氏は、「ツイッター(Twitter)が登場した時『140字でジャーナリズムなどできない』と言われたものだが、今や不可欠なツールになっている」と指摘し、報道各社はいずれスマートウオッチの最適な活用法を見つけ出すだろうとの見方を示した。
スマートフォンとタブレット端末向けにニュースアプリを提供している仏企業ニュースリパブリック(News Republic)の最高経営責任者(CEO)で、米サンフランシスコ(San Francisco)を拠点に活動しているジル・レモン(Gilles Raymond)氏は、スマートウオッチは各種のニュース源の中で重要な地位を占めるようになるだろうと述べ、アップルウオッチはその大きな試金石になると語った。
「ニュース速報には誰もがすぐにアクセスしたいだろう。その点で時計は理想的なツールだ」と言うレモン氏は、スマートフォンやタブレットを1日100回見ている人がアップルウオッチを身に着ければ1日に300~500回見るようになると予想。「習慣性は極めて高いだろう」と指摘した。
レモン氏は、今のところスマートウオッチで見られるニュースは限定されているが、ニュース企業やニュースアプリは本格的にアップルウオッチに対応しようとしていると言う。
「問題は、人々がアップルウオッチで記事の冒頭だけを読んで続きはスマートフォンで読むのか、アップルウオッチで記事全文を読むのかだ。どちらのシナリオにも実現する可能性はあるが、腕時計(型端末)で全文を読むのが一般的になるのではないかと私は思っている」とレモン氏は語った。
さらにレモン氏は、ニュース企業は小さな画面で見やすいコンテンツを開発しなければならないが、そうすることで「読者との関係を築く新しい方法」を手にすることができるかもしれないとの考えを示した。
■装置の特性に合った配信方法を
ニュース企業の側は、短いニュースやニュース速報を邪魔にならないように読者に届ける方法を開発する必要がある。
米シカゴ(Chicago)の元新聞編集者で現在はデジタルメディア・コンサルタントとして活動しているアラン・マター(Alan Mutter)氏は、「こういった極めて小さい画面は、スマートフォンに付いている画面の単なる延長線上にはない。消費者がこの装置をどのように使うのか、そして、どうすれば価値あることを提供できるのか良く考えなければならない」と語り、ニュース企業はスマートウオッチのような新しい装置の使い方をクリエイティブに考えなければならないと述べた。
マター氏は、新着ニュースがあると知らせる振動がひっきりなしに続くようでは煩わしいだろうから、ニュース企業は読者にとってバランスのとれた通知方法を見出す必要があると指摘し、「毎正時に記事の見出しだけを送る機能や、ニュースの要旨を音声で聴くことができる機能などが良いかもしれない。ニュース企業はメディアに合ったコンテンツを作る必要がある」と述べた。
さらにマター氏は、伝統的なニュース企業がインターネットへの展開に失敗した事例も多いが、モバイル端末やスマートウオッチの出現とともに新たなチャンスが到来したと指摘し、「(ニュース企業は)モバイル端末は単に情報を受けるだけの装置ではないことを理解し、モバイル端末でのプレゼンスを開発していく必要がある。モバイルにきちんと対応できれば、アップルウオッチでも成功できるはずだ」と語った。【翻訳編集】 AFPBB News
内臓などの様子を立体的に映し出すコンピューター断層撮影法(CT)で患者が被曝(ひばく)するX(エックス)線の量は、同じ部位の検査でも医療施設によって10倍以上も差がある実態が、日本診療放射線技師会の調査で分かった。
一部の施設では患者が必要以上に被曝している可能性があり、国内の関係学会などを集めた「医療被ばく研究情報ネットワーク」(代表=米倉義晴・放射線医学総合研究所理事長)は18日、望ましい線量の目安となる参考値案をまとめた。今後、各学会などを通じて周知を図る。
CTは、装置が体の周りをぐるりと回ってX線を照射するため、一方向だけからの単純撮影に比べて被曝線量が多く、様々な医療検査による被曝量全体の4割前後を占めるといわれる。同技師会は一昨年、会員の診療放射線技師にアンケートを送り、約300施設分の回答を集計した。
その結果、患者が被曝するX線量を示すCT線量指標(単位はミリ・グレイ)が、成人の頭部で12~150、胸部で1・6~128、腹部・骨盤で0・9~40と、同じ部位の検査でも施設間で十数倍から数十倍の差があった。照射範囲の広さなども勘案して、全身への影響を示す「実効線量」を計算すると、最高で頭部は1回あたり約5ミリ・シーベルト、胸部は約16ミリ・シーベルト、腹部・骨盤は約27ミリ・シーベルトと推定された。
施設間の大きな差は、日本医学放射線学会が行った別の調査でも確認された。技師会などによると、照射線量は通常、装置メーカーの推奨値を基に各施設で決める。高い線量が要る特殊な検査もあるが、全体としては、必要以上に高画質となる高い線量に設定したまま見直していない施設が少なくないとみられる。
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